京都競馬場の改修で“看板レース”はどうなる!?

2019年07月06日(土) 12:00

私には“ウルトラC”的なプランがあります

 本格的な夏競馬開幕、というのに、先週土曜日の福島は涼しいを通り越して寒かったです。英仏競馬観戦帰りで上着を持たずに現地入りした私、カゼを引きそうでした。天気予報では今週も曇りがちで気温は低めとのこと。夏の到来はしばらく先になりそうです。

 さて、先月、京都競馬場のリニューアル計画が発表されました。2025年に開設100周年を迎えるにあたり、現スタンドのうちグランドスワンを改築、ビッグスワンを改修するなど、大規模な工事が行われます。

 それに伴い、京都競馬の開催は来年11月から2023年3月まで休止。21、22年の天皇賞(春)や菊花賞などが他場に振り替えて実施されることになりました。“坂越え”が名物の両レースが京都以外で行われるのは異例です。

 まずは天皇賞(春)。1938(昭和13)年に帝室御賞典として実施されたのが、現行レースの初回とされています。この時から1943年までは、今の阪神競馬場のルーツである鳴尾競馬場で開催されていました。舞台が京都に移ったのは鳴尾が接収された後の1944(昭和19)年から。その中で、1965、70、80、94年が阪神での開催でした。

 一方の菊花賞。こちらは同じく1938年に京都農林省賞典4歳呼馬競走として始まりました。つまり、当初から京都の“看板レース”だったわけです。そして、戦時中のレース不成立や中断をはさんで、1946(昭和21)年の再開以降もずっと京都で開催されてきました。しかし、1979年の1回だけは阪神に振り替えられています。80年の天皇賞(春)も阪神開催になっているように、ちょうどその頃、今のグランドスワンを建設する工事が行われていたからです。

 2021、22年の両レースも、おそらく阪神で行われるんでしょうね。ただ、両レースが実施される時期の開催を阪神に持って行くだけでは、同競馬場の“使いすぎ”になってしまいます。となると、今行われている阪神競馬の一部も、中京か小倉に振り替えなければなりません。すると今度は、中京と小倉の日程調整も必要になります。

 JRAはそのスケジュールを発表していませんが、どういうふうになるのでしょうか?ひとまず、天皇賞(春)と、秋華賞からマイルCSの時期の京都競馬は阪神に振り替えるはず。でも、これに加えて正月の京都を阪神に移行させると、10月から翌年の1月まで阪神競馬が続いてしまいます。その途中の何週間かを他場開催にするかもしれません。エリザベス女王杯、マイルCSは中京で、なんていうことになったりして…。

 G1をどうするかは別として、私には“ウルトラC”的なプランがあります。中京か小倉競馬の一部を、東の“管轄”となっている新潟に持って行く、というものです。高速道路を使えば栗東からの移動も便利ですし、芝のレースなら距離のバラエティもある競馬場ですから。これ、妙案だと思うんですけど。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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