【紫苑S予想】夏の上がり馬よりも春の重賞路線を歩んだ馬

2021年09月10日(金) 18:00

タフな名牝系の成長力に注目

 2016年から重賞に昇格して、いきなり2着のヴィブロスが続く「秋華賞」を制覇。2017年の1着馬ディアドラは、「秋華賞」を勝っただけでなく海外のG1馬に…。

 2018年の勝ち馬ノームコアものちにGIを2勝。2019年の3着馬カレンブーケドールはビッグレースの常連になるなど、重賞になると同時に明らかにレベルアップしている。

 もちろん夏の上がり馬は怖いが、春の重賞路線から休養明けになった馬が、5年間で馬券に絡んだ15頭中のうち、9頭を占めている(オークス以来の馬が7頭)。

 そのオークス組は「3、6、5、11、16、2、10」着からの巻き返しだから侮れない。オークスの着順は悪くても春の期待馬だった。

 注目のエクランドール(父ディープインパクト)は、3戦2勝で菊花賞を制したフィエールマンの全妹。休み明けはまったく苦にならない。春より体質は強化しているはずだ。最低でも秋華賞の出走権確保の3着以内に入り、ぜひとも兄に続きたいが、兄ほどは反応が鋭くない心配はある。

 伏兵ホウオウイクセル(父ルーラーシップ)に期待したい。脚部不安でオークスは回避したので桜花賞以来だが、春シーズンは小柄な馬にフラワーCから中2週で桜花賞への初遠征はきつかった。あの状態で1分32秒5(9着)なら凡走でもない。中山では重賞「2着、1着」。先行してフラワーCを快勝した自在の先行力は、2000m向きだろう。祖母はGIを5勝したメジロドーベル。タフな名牝系の成長力に注目したい。馬体も430キロ前後にはなっているはずだ。

 オークスで崩れて11着のファインルージュ(父キズナ)は、2400mではかかって失速したが、フェアリーSでホウオウイクセルに勝っている。秋華賞の2000mなら距離は大丈夫の自信をここで得たい。桜花賞3着はソダシと0秒1差だけ。ここに向けての動きは光っている。逆転も望める相手の筆頭にしたい。

 藤懸騎手のオークス3着馬ハギノピリナ(父キズナ)は、以前は使って良化型だったが、エクランドールと同じで、ここでなんとしても出走権を確保したい。後方一気ではなく、強気な作戦を取ってくるだろう。近親に活躍馬は少ないが、凱旋門賞馬ヴェイグリーノーブルを輩出したファミリーとして、日本でもずっと以前から人気の牝系だった。本格化はこの秋からと思える。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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