上昇に転じた地方競馬

2014年04月04日(金) 18:00


◆ばんえいを除き全ての主催者が1日平均売得額1億円突破

 まずは、3週前のこのコラムで取り上げたスカパー!の『地方競馬ナイン』の続報から。当時、<兵庫はスカパー!の中継からは撤退する。>とお伝えしたが、一転、土壇場の3月31日になって、『地方競馬ナイン』で引き続き実況中継を行う旨のリリースが送られてきた。ただ兵庫に関しては「多数放送」となっていて、開催日が重なる他場との兼ね合いで、全開催の放送とはならないようだ。

 そして唯一、佐賀はここまでのところ参加の動きはなく、「ナイン」と言いながら8主催者でのスタートとなるようだ。ただまだ調整が済んでない部分もあるようで、放映時間等の詳細は番組のサイト(http://keiba9.com/)でチェックしていただきたい。

 さて、地方競馬は4月から新年度の開催となり、2013年度(2013年4月〜2014年3月)の開催成績(速報値)が地方競馬全国協会からリリースされた。

 2013年度の地方競馬全体での総売得額3553億3044万1500円は前年度比106.8%、1日平均2億7934万7800は同115.8%というもの。

 1日平均で15.8%ものアップとなったのは驚きだが、それ以上にまず驚いたのは、全主催者において、総売得額、1日平均ともに100%超となっていたことだ。2012年度も地方競馬全体では、総売得、1日平均ともにわずかではあるものの前年度比100%超を記録していたが、中にはやや苦戦している主催者もあった。特に発売の絶対額が大きい南関東では、2012年度は川崎以外の3場が1日平均で100%割れだったものが、2013年度は揃って100%超に回復。この意味は大きい。暦年で発表されるJRAの2013年の総売得額が前年比100.4%だったことと考え合わせると、競馬全体で動く金額が確実に増加したということだ。

 もうひとつ、地方競馬でいい傾向だと思ったのは、1日平均の売得額で、7616万円余りのばんえい競馬を除き、すべての主催者で1億円を超えたということ。

 2001年の中津競馬以降廃止になった競馬場は、財政基盤の小さな自治体がほとんど。しかしここにきて、なんとか耐えてきた規模の小さな競馬場が、すべての主催者で(ばんえい競馬は除き)1日平均1億円というひとつの目安をクリアしている意味は大きいのではないか。規模や賞金の小さい競馬場でも、一旦廃止となってしまえば現役馬としての競走馬の最終的な行き場がなくなり、日本の競馬全体が縮小に向かうからだ。

 日本のサラブレッドの生産統計を見ると、残念ながらまだ底を打ったとはいえず、2013年は6835頭で、バブル期以降では最低の数字となっている。

 地方競馬の売上げアップとともに、こうした生産関連の数字も上向いてくれば、いよいよ日本の競馬は回復基調といえるのではないか。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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