多くの馬の方向性が見えた一戦/新潟2歳S

2014年09月01日(月) 18:00


デビュー戦とまったく違うペースで勝ったことが素晴らしい

 新潟2歳Sは2002年に現在の外回り1600mになって以降、キャリアの浅い馬の2歳戦であり、また、最後の直線が約660mもある独特のマイル戦とあって、前半はスローでゆっくり流れることが多い。前傾のハイペースになることはない。

 そんなペースもあって、ここまで1分33秒台で乗り切ったのは、高速新装馬場の2002年のワナ、ヨシサイバーダイン。2011年のモンストール、ジャスタウェイ。そして、2012年のザラストロ、ノウレッジ、サウンドリアーナの7頭にとどまっていた。

 今年は、ハープスター、イスラボニータ、ジャスタウェイ…などのその後の大活躍によって、急速にレースの評価が高くなっていた。とくに、陣営が将来性をみきわめ、距離適性を探るには格好のマイル戦であることがはっきりしてきたから、集まったメンバーの全体レベルは高かったろう。実際、ザラストロが一気に差し切った2012年の1分33秒5(レースの前後半バランスは46秒9-46秒6)を更新するコースレコードが記録された。

 カシノハリウッドの先導したレース全体の流れは、「47秒1-46秒3」=1分33秒4。前半1000m通過は59秒1の平均に近いバランス。レース上がりは「34秒3」。4着コメートまでが1分33秒台で乗り切ってみせた。

 2歳のこの時期に1600mを1分33秒台で激走すると、ここまで1分33秒台を記録した好走馬は、2011年のジャスタウェイ以外、そのあと必ずしも期待通りではなかった。だから、「早い時期にマイル戦激走のもたらす功罪」がささやかれることも珍しくないが、今年の上位組はレースの評価が上がって、レベルの高い素質馬がそろったから、そう無理の生じない「平均ペース(1000m通過は59秒1)」の流れから、最後に猛然とスパートして1分33秒台前半の好記録が生まれたと考えたい。異常に上がりが速くなる不自然なレースでもなかった。

 勝ったミュゼスルタン(父キングカメハメハ)は、社台グループが誇る名牝系ハ二ードリーマーの一族・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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