2022年05月31日(火) 18:03
▲自身6度目のダービー制覇、武豊騎手とのエピソードを明かします (撮影:下野雄規)
先週の土曜日には、加矢太騎手が2戦2勝の大活躍! 息子の活躍に「大したもんや」と目を細める小牧騎手ですが、最近は障害レースそのもののおもしろさにハマっているとか。また、ダービーは同世代の武豊騎手が6勝目の快挙を達成。レース後のメールのやり取りなど、とっておきのエピソードを明かしてくれました。(取材・文:不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
──先週は、加矢太騎手が障害オープン(5月28日・新潟4R・4歳上障害OP)を初勝利。そのレースを含め、あの日は2戦2勝の大活躍でしたね。
小牧 すごいねぇ。我が息子ながら、やっぱり上手やわ。だいぶ慣れてきたね。落ち着いて乗れているのがようわかる。
──直線の追いっぷりも変わってきたように思います。
小牧 うん、今回はしっかり追えていたと思うわ。ただ、そう見えるのは、いい馬に乗せてもらっているおかげもあるね。馬に力があれば、フォームもバラバラにならへんから。
──競馬に乗り出してから、まだ2カ月半。もちろん、まだまだ勉強中でしょうが、しっかり対応しているだけではなく、こうして結果も出して。本当にすごいことだなと思います。
小牧 すごいよね、ホントに。競馬に関しては、ちょっと前まで完全に素人だったのに大したもんや。障害ジョッキーたちもね、すごくようしてくれて。みんなと仲良くやってくれているのもうれしい限りで、僕としては周りのみなさんに感謝しかない。
──小牧さんもさぞかし鼻が高いのでは?
小牧 そんなことより楽しいね。加矢太がデビューしてから、以前にも増して障害レースを真剣に見始めたんやけど、障害ってなんでこんなにおもしろいんだろうって思い始めてるわ。障害レースってホンマにすごい競走やなと思うし、障害ジョッキーたちのすごさもやっとわかってきた。
──たとえばどんなところが?
小牧 やっぱり多頭数で障害を飛ぶ瞬間とかね。僕なんかは怖いと思ってしまうけど、きれいに飛んでいくやん。こんな気持ちになったのは確かに加矢太がきっかけやけど、ファンの人にももっと障害レースに注目してほしいと思うね。ホンマにすごくおもしろい。むっちゃおもしろいわ。
──話は変わりますが、日曜日には武豊騎手がダービー6勝目を挙げました。同年代として、感慨深いものがあったのではないですか?
小牧 かっこよかったねぇ。おめでとうメールを入れたんやけど、その返事もかっこよかった。教えたろか?
──ぜひ!
小牧 「来年は一緒に乗りましょう」って。渋いね、あの男(笑)。「頑張ります」とだけ返事したわ。
──「来年は一緒に乗りましょう」か…。ものすごい応援メッセージですね。深い。
小牧 そうやろ? ダービーはね、なんとも言えない気持ちで見てたわ。すごいなぁ、気持ちええやろうなぁと思いながら。味わいたいね、ダービーという舞台をもう一度。そういう馬に出会えれば、僕もまだまだ自信はあるから。出会いを引き寄せられるように、とにかく頑張るだけや。
──さて、今週ですが、ニホンピロランドがそろそろ復帰かなぁと思っているのですが。調教ではいい時計が出ていますね。
小牧 うん、今週かな。先週も追い切りに乗ったけど、いい感じやねん。重たさも感じないし、なんせ歩様がいいわ。よくなったというより、元に戻った感じで。今回は休み明けからビッシリ乗っているから、しょっぱなから走れるかもしれんね。3勝クラスに上がってからは厳しい競馬が続いているけど、力はある。状態はいいし、なんとかメドを立てたいね。
──では、最後に質問をひとつ。「もし小牧騎手が過去に戻って1レースだけやり直せるとしたら、どのレースを選びますか? 」。
小牧 これだけ乗ってくれば、失敗したレースはようけあるからなぁ。それこそ数え切れんほどあるけど、失敗したレースはあんまり思い出さんようにしてる。今は勝ったレースしか思い出さへん。だから、答えるとしたら「やり直したいレースはない」。スマイルジャックのダービーだって、やり直したところで、あれ以上の競馬はできへんなと思うし。
──まったくロスのない完璧な騎乗でしたものね。やり直したいレースはないというのも、なんだか小牧さんらしいです。
小牧 だってしょうがないもんね。とくに今は、前だけ向いて頑張っていきたいしね。
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小牧太
1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。
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