2020年10月31日(土) 12:00
また、大記録が生まれるのか。芝GI8勝の壁を打ち破る日が近づいていると多くが思っているアーモンドアイ。新たな歴史の扉を開くことになれば、この秋は、日本の競馬にとって3週連続で金字塔を打ち建てることになる。常識やセオリーが通用しないところにこのアーモンドアイの強さがあるが、この秋の天皇賞は連覇もかかっている。
牝馬3冠の中では、とても届かない位置から一気に伸びてきた秋華賞は劇的な勝利だったし、国枝調教師が時計が壊れているのではと思ったと言うジャパンカップの2分20秒6というタイム、昨年秋の天皇賞ではGI馬9頭を圧倒、本能に根ざした闘争心を感じさせる迫力で見る者の心を奪っていた。
牝馬の時代と呼ばれて久しいが、今年は牡牝混合GI戦で牝馬が5勝2着4回と、2008年の5勝2着1回を超える勢いだ。アーモンドアイを追う立場で、昨年の秋華賞馬で今年の宝塚記念を6馬身差で圧勝した4歳馬クロノジェネシスが初めて先輩の女傑に挑むので、いずれにせよこの秋も、スプリンターズSのグランアレグリアに続き牝馬が快進撃を見せる可能性は高いと言える。
この牝馬の時代のさきがけとなったのは、グレード制が導入され、秋の天皇賞が2000米になった1984年以降では、23年前の秋の天皇賞で前年の覇者バブルガムフェロー(3歳馬として初の栄冠に輝く)の連覇を阻止した前年のオークス馬エアグルーヴだ。牝馬17年ぶりの優勝でジャパンカップ、有馬記念でも2、3着と健闘し、武豊騎手をして"現役最強馬"と言わしめていた。
これに続くのが2008年の秋の天皇賞でライバルのダイワスカーレットと大接戦の末に下したウオッカだ。厳しいラップで逃げたスカーレットに1分57秒2のレコードで駆け抜けて勝利していた。13分にも及ぶ写真判定になり、結果2センチ差での決着。表彰式の司会で馬場内で待っていたので、その瞬間は終生忘れられない。
ウオッカと言えば、64年ぶりの牝馬によるダービー制覇を達成した名牝で、その後、翌年に日本調教馬初の牝馬によるジャパンカップ優勝を成し遂げ、ダイワスカーレットは、天皇賞で涙をのんだ年の有馬記念を、牝馬37年ぶりの勝利で飾っていた。牝馬によるこの盛り上がりは忘れられない。
この3年前に5歳牝馬のヘヴンリーロマンスが秋の天皇賞で勝っていたが、それ以降、牝馬で勝ったブエナビスタ、アーモンドアイは、いずれも4歳秋のこと。GI5勝のブエナビスタでさえ、2011年の5歳時は1番人気で4着に敗退していた。今年5歳のアーモンドアイが連覇となれば、これまでの女傑たちをしのぐ快挙であり、正に、レジェンドホースとなることになる。
"あるがままに、結果は自然に成る"の言葉で声援を送りたい。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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